AORって何?

前回ご紹介したシティポップ編に続いて、そのシティポップに多大な影響を与えたAORという洋楽ジャンルについて解説していきます。

このAORとは、アダルト オリエンテッド ロックの略で、都会的で洗練された音作りの大人向けのロックのことを指します。

アメリカではアルバムオリエンテッドロックとも表現され、ヒットチャートよりもアルバムトータルの完成度にこだわった作品のことを言います。

AORとはどんな音楽?

1989年前後に発売されたレコードの帯に、アーバンとかメロウとかスムース等、そんなワードがよく使われていました。

いわゆる大人の鑑賞に耐えうるお洒落でセンスのいい音楽のことをAORと表現しました。

それまでのシンプルorハードなロックサウンドとは違い、ジャズやソウル、ボサノバ等のエッセンスを取り入れた、落ち着いた雰囲気のサウンドです。

キーボードやエフェクターの進歩、更にレコーディング技術の向上に加え、名プロデューサー等のセンスによって数々の洗練された音楽が生み出されました。

AORブームにつながる
当時のミュージックシーンの流れ

AORもシティポップと同じく、ジャンル分けの基準が曖昧です。

アメリカでAORブームが起きる前までは、ジャズ系やソウル系の落ち着いた曲調の楽曲をソフト&メロウなどというように表現していました。

そして、1970年中頃からロックやポップスの曲調にジャズやソウルのエッセンスを取り入れた曲で構成されたアルバムが現れ始めました。

一般的には1974年にリリースされたニック・デカロの「イタリアン・グラフィティ」からAORの流れが始まったと言われています。

そして、AORブームの決定打となったボズ・スキャッグスの「シルク・ディグリーズ」が発売されたのが1976年です。

この年はアメリカ建国200年にあたる年で、レコード業界も空前の好景気に沸いていました。

AORの音楽は、ほぼ同時期に流行したサタディ ナイト フィーバーに代表されるディスコブームと共に、レコード業界を牽引して行きました。

AORの先駆けを飾った
代表的な名盤(1974〜77年)

まずは先にご紹介したニック・デカロの「イタリアン・グラフィティ」です。

イタリアンマフィア風の威厳たっぷりドアップのジャケットが印象的ですが、音の方はとてもソフィスケートされた上品で小粋な曲で占められています。本業は超売れっ子の凄腕アレンジャーなので、ボーカル力はそこそこ。

ニック・デカロ

続いてボズ・スキャッグスの「シルク・ディグリーズ」のご紹介です。

夕暮れの海辺の白いベンチに佇むダンディーな男…このジャケットが全てを物語っているようなアダルティで雰囲気抜群のサウンドです。このアルバムのレコーディングメンバーから、後のスーパーグループ”TOTO”が結成されたのは有名な逸話です。

ボズ・スキャッグス

続いてご紹介の名盤は、ジョージ・ベンソンの「ブリージン」(1976年)です。

凄腕ジャズギタリストとしてキャリアをスタートしましたが、所属レーベルを移籍した第一弾のこの作品でボーカリストの資質も開花させました。ボーカル曲は1曲だけですが、アルバムトータルの質感はAORの魅力をたっぷりと含んでいます。

J・ベンソン

次は、ネッド・ドヒニーの「ハード・キャンディ」(1976年)のご紹介です。

青空とパームツリーの下でシャワーを浴びる上半身裸の男、この有名なジャケットと共にAORを語る時には必ず出てくる名盤です。西海岸ソングライター系のメロディーにソウルのエッセンスが絶妙にブレンドされたサウンドで、ハイトーンボイスが印象的です。

ネッド・ドヒニー

そしてもう1枚、スティーリー・ダンの「エイジャ」(1977年)をご紹介。

このアルバムは、AORに留まらず、ロックの歴史を飾る1枚と評価されています。ドナルド・フェイゲンとウォルター・ベッカーの2人のユニットに、スティーブ・ガッドやラリー・カールトン、リー・リトナー、トム・スコット等々の一流のスタジオミュージシャン達を配して、まさに鉄壁と表現できるようなサウンドを作り上げています。

スティーリー・ダン

AOR全盛期(1977年〜82年)の
代表的アルバム10枚

01. マイケル・フランクス
「スリーピング・ジプシー」(1977年)
ジャジーでメロウなサウンド。とにかくソフトなボーカルでお洒落感抜群です。

M・フランクス

02. ボビー・コールドウェル
「イブニング・スキャンダル」(1978年)
ミスターAORの異名を持つ男。夏の夕暮れ時を連想させるサウンドで独特な声が魅力的。

B・コールドウェル

03. ルパート・ホルムズ
「パートナーズ・イン・クライム」(1979年)
エスケイプやヒムの大ヒット曲を収録した人気盤。よく練られたきれいなメロディが満載。

04. ランディ・ヴァン・ウォーマー
「アメリカン・モーニング」(1979年)
何度もCMで使われた名曲アメリカンモーニング収録盤。タイトル通り朝から聴ける爽やかさ。

05. ウィルソン・ブラザーズ
「アナザー・サイド」(1979年)
曲良し、ジャケット良しのAORファンの支持が高いアルバム。CD化された時は大喝采でした。

W・ブラザーズ

06. エアプレイ
「エアプレイ」(1980年)
ジェイグレイドンとデビッドフォスター両巨頭唯一のAORを代表する名盤。

エアプレイ

07. クリストファー・クロス
「南から来た男」(1980年)
とにかく美声!まさに天から授かりし歌声です。デビューアルバムにしてグラミー賞受賞の快挙。

C・クロス

08. ロビー・デュプリー
「ふたりだけの夜」(1980年)
印象的なイントロで始まるアルバム同タイトル曲が大ヒット!AOR屈指の人気曲。

09. ピーター・アレン
「バイ・コースタル」(1980年)
抜群の歌唱力で歌い上げるエンターテナー。デビッドフォスターがプロデュースした名盤。

10. ビル・ラバウンティ
「ビル・ラバウンティ」(1982年)
聴けば聴くほど味が出てくるスルメ盤。この良さが分からなければAORは語れない。

是非これもチェックして欲しい!
絶対お薦めの10枚

01. ペイジズ
「ペイジズ」(1978年)
クラブシーンでも大人気のファンキー&メロウな1stアルバム。

02. マーク=アーモンド
「アザー・ピープルズ・ルーム」(1978年)
夜専用。都会の夜の情景が浮かんでくる小粋なサウンド。

M・アーモンド

03. ピーター・マッキャン
「ワン・オン・ワン」(1979年)
朝・昼・夜どんなシチュエーションにもマッチする隠れた名盤。

04. ブルース・ヒバード
「ネバー・ターン・バック」(1980年)
特にアルバム前半の流れは爽快感抜群で素晴らしいの一言。

05. ラリー・ジョン・マクナリー
「シガレット・アンド・スモーク」(1981年)
ジャケットの雰囲気も抜群ですが、中身も負けずにいい曲が沢山入っています。

ラリー・J・マクナリー

06. スティーヴィー・ウッズ
「スティール・ザ・ナイト」(1981年)
センスのいいカバー選曲と艶やかな声が全体の完成度を上げています。

S・ウッズ

07. ロビー・デューク
「ノット・ザ・セイム」(1982年)
グッとくるメロディーが満載!声もいいし愛聴盤になる要素たっぷりです。

08. レスリー・スミス
「ハート・エイク」(1982年)
本国の評価より日本のAORファンからの支持が大きく上回る外せない1枚。

レスリー・スミス

09. ランディ・グッドラム
「フールズ・パラダイス」(1982年)
CD再発されるまでは超高値で取引されていたAORファン絶賛のアルバム。

R・グッドラム

10. フィニス・ヘンダーソン
「フィニス」(1983年)
AORブーム後期を飾る、毎年夏になると聴きたくなる名盤。

まとめ

ここまで様々なAORの名盤をご紹介してきましたが、今回はあえてTOTOビリージョエル等のメジャーアーティストは外しています。

しかしそれでも紹介しきれない素晴らしい作品がゴロゴロあります。

なんであのアルバムが入ってないの!とかお叱りを受けそうですが、また機会がありましたら更に深掘りして、今の若い世代からもリスペクトされているアルバムをご紹介したり、現在のAORフォロワー達の作品なんかもご紹介出来ればと思っています。

いい音楽は人生の思い出をより一層輝かせてくれます。

これからも皆様の生活に、音楽が癒しやときめきや感動を与えてくれることを願っています。

AORって何?

前回ご紹介したシティポップ編に続いて、そのシティポップに多大な影響を与えたAORという洋楽ジャンルについて解説していきます。

このAORとは、アダルト オリエンテッド ロックの略で、都会的で洗練された音作りの大人向けのロックのことを指します。

アメリカではアルバムオリエンテッドロックとも表現され、ヒットチャートよりもアルバムトータルの完成度にこだわった作品のことを言います。

AORとはどんな音楽?

1989年前後に発売されたレコードの帯に、アーバンとかメロウとかスムース等、そんなワードがよく使われていました。
いわゆる大人の鑑賞に耐えうるお洒落でセンスのいい音楽のことをAORと表現しました。
それまでのシンプルorハードなロックサウンドとは違い、ジャズやソウル、ボサノバ等のエッセンスを取り入れた、落ち着いた雰囲気のサウンドです。
キーボードやエフェクターの進歩、更にレコーディング技術の向上に加え、名プロデューサー等のセンスによって数々の洗練された音楽が生み出されました。

AORブームにつながる当時のミュージックシーンの流れ

AORもシティポップと同じく、ジャンル分けの基準が曖昧です。
アメリカでAORブームが起きる前までは、ジャズ系やソウル系の落ち着いた曲調の楽曲をソフト&メロウなどというように表現していました。
そして、1970年中頃からロックやポップスの曲調にジャズやソウルのエッセンスを取り入れた曲で構成されたアルバムが現れ始めました。
一般的には1974年にリリースされたニック・デカロの「イタリアン・グラフィティ」からAORの流れが始まったと言われています。
そして、AORブームの決定打となったボズ・スキャッグスの「シルク・ディグリーズ」が発売されたのが1976年です。
この年はアメリカ建国200年にあたる年で、レコード業界も空前の好景気に沸いていました。
AORの音楽は、ほぼ同時期に流行したサタディ ナイト フィーバーに代表されるディスコブームと共に、レコード業界を牽引して行きました。

AORの先駆けを飾った代表的な名盤

まずは先にご紹介したニック・デカロの「イタリアン・グラフィティ」です。
イタリアンマフィア風の威厳たっぷりドアップのジャケットが印象的ですが、音の方はとてもソフィスケートされた上品で小粋な曲で占められています。
本業は超売れっ子の凄腕アレンジャーなので、ボーカル力はそこそこ。

続いてボズ・スキャッグスの「シルク・ディグリーズ」のご紹介です。
夕暮れの海辺の白いベンチに佇むダンディーな男…このジャケットが全てを物語っているようなアダルティで雰囲気抜群のサウンドです。
このアルバムのレコーディングメンバーから、後のスーパーグループ”TOTO”が結成されたのは有名な逸話です。

続いてご紹介の名盤は、ジョージ・ベンソンの「ブリージン」(1976年)です。
凄腕ジャズギタリストとしてキャリアをスタートしましたが、所属レーベルを移籍した第一弾のこの作品でボーカリストの資質も開花させました。
ボーカル曲は1曲だけですが、アルバムトータルの質感はAORの魅力をたっぷりと含んでいます。

次は、ネッド・ドヒニーの「ハード・キャンディ」(1976年)のご紹介です。
青空とパームツリーの下でシャワーを浴びる上半身裸の男、この有名なジャケットと共にAORを語る時には必ず出てくる名盤です。
西海岸ソングライター系のメロディーにソウルのエッセンスが絶妙にブレンドされたサウンドで、ハイトーンボイスが印象的です。

そしてもう1枚、スティーリー・ダンの「エイジャ」(1977年)をご紹介。
このアルバムは、AORに留まらず、ロックの歴史を飾る1枚と評価されています。
ドナルド・フェイゲンとウォルター・ベッカーの2人のユニットに、スティーブ・ガッドやラリー・カールトン、リー・リトナー、トム・スコット等々の一流のスタジオミュージシャン達を配して、まさに鉄壁と表現できるようなサウンドを作り上げています。

ニック・デカロ

ボズ・スキャッグス

J・ベンソン

ネッド・ドヒニー

スティーリー・ダン

AOR全盛期(1977年〜82年)の代表的アルバム10枚

01. マイケル・フランクス
「スリーピング・ジプシー」(1977年)

ジャジーでメロウなサウンド。とにかくソフトなボーカルでお洒落感抜群です。

02. ボビー・コールドウェル
「イブニング・スキャンダル」(1978年)

ミスターAORの異名を持つ男。夏の夕暮れ時を連想させるサウンドで独特な声が魅力的。

03. ルパート・ホルムズ
「パートナーズ・イン・クライム」(1979年)

エスケイプやヒムの大ヒット曲を収録した人気盤。よく練られたきれいなメロディが満載。

04. ランディ・ヴァン・ウォーマー
「アメリカン・モーニング」(1979年)

何度もCMで使われた名曲アメリカン・モーニング収録盤。タイトル通り朝から聴ける爽やかさ。

05. ウィルソン・ブラザーズ
「アナザー・サイド」(1979年)

曲良し、ジャケット良しのAORファンの支持が高いアルバム。CD化された時は大喝采でした。

06. エアプレイ
「エアプレイ」(1980年)

ジェイグレイドンとデビッドフォスター両巨頭唯一のAORを代表する名盤。

07. クリストファー・クロス
「南から来た男」(1980年)

とにかく美声!まさに天から授かりし歌声です。デビューアルバムにしてグラミー賞受賞の快挙。

08. ロビー・デュプリー
「ふたりだけの夜」(1980年)

印象的なイントロで始まるアルバム同タイトル曲が大ヒット!AOR屈指の人気曲。

09. ピーター・アレン
「バイ・コースタル」(1980年)

抜群の歌唱力で歌い上げるエンターテイナー。デビッドフォスターがプロデュースした名盤。

10. ビル・ラバウンティ
「ビル・ラバウンティ」(1982年)

聴けば聴くほど味が出てくるスルメ盤。この良さが分からなければAORは語れない。

M・フランクス

B・コールドウェル

W・ブラザーズ

エアプレイ

C・クロス

是非これもチェックして欲しい!絶対お薦めの10枚

01. ペイジズ
「ペイジズ」(1978年)

クラブシーンでも大人気のファンキー&メロウな1stアルバム。

02. マーク=アーモンド
「アザー・ピープルズ・ルーム」(1978年)

夜専用。都会の夜の情景が浮かんでくる小粋なサウンド。

03. ピーター・マッキャン
「ワン・オン・ワン」(1979年)

朝・昼・夜…どんなシチュエーションにもマッチする隠れた名盤。

04. ブルース・ヒバード
「ネバー・ターン・バック」(1980年)

特にアルバム前半の流れは爽快感抜群で素晴らしいの一言。

05. ラリー・ジョン・マクナリー
「シガレット・アンド・スモーク」(1981年)

ジャケットの雰囲気も抜群ですが、中身も負けずにいい曲が沢山入っています。

06. スティーヴィー・ウッズ
「スティール・ザ・ナイト」(1981年)

センスのいいカバー選曲と艶やかな声が全体の完成度を上げています。

07. ロビー・デューク
「ノット・ザ・セイム」(1982年)

グッとくるメロディーが満載!声もいいし愛聴盤になる要素たっぷりです。

08. レスリー・スミス
「ハート・エイク」(1982年)

本国での評価より日本のAORファンからの支持が大きく上回る外せない1枚。

09. ランディ・グッドラム
「フールズ・パラダイス」(1982年)

CD再発されるまでは超高値で取引されていたAORファン絶賛のアルバム。

10. フィニス・ヘンダーソン
「フィニス」(1983年)

AORブーム後期を飾る、毎年夏になると聴きたくなる名盤。

M・アーモンド

ラリー・J・マクナリー

S・ウッズ

レスリー・スミス

R・グッドラム

まとめ

ここまで様々なAORの名盤をご紹介してきましたが、今回はあえて、TOTOビリージョエル等のメジャーアーティストは外しています。
しかしそれでも紹介しきれない素晴らしい作品がゴロゴロあります。
なんであのアルバムが入ってないの!とかお叱りを受けそうですが、また機会がありましたら更に深掘りして、今の若い世代からもリスペクトされているアルバムをご紹介したり、現在のAORフォロワー達の作品なんかもご紹介できればと思っています。
いい音楽は人生の思い出をより一層輝かせてくれます。
これからも皆さまの生活に音楽が癒しやときめきや感動を与えてくれることを願っています。